パーム油工場排水（POME）の課題解決

パーム油の生産量は増加傾向にあります。これは大きな経済的利益をもたらす一方で、メタン発生、水資源・土地利用、廃棄物管理など、環境への影響に関して重要な持続可能性の課題も生じさせています。持続可能なパーム油のための円卓会議（RSPO）のメンバーであるアルファ・ラバルは、これらの影響を緩和するために大きな貢献をすることを約束しています。そのため、POMEVapと呼ばれる革新的な技術を開発しました。この技術は、生産プロセスの副産物であるパーム油工場排水（POME）の処理に使用されています。インドでのケーススタディは、POMEVapが以下の点で大きな違いをもたらすことを示しています：メタンの発生を完全に防止水の消費を最小限に抑制追加のパーム油を回収し再利用のために濃縮必要なスペースを削減し、他の目的のために土地を解放この技術により、環境への影響を大幅に軽減しながら、パーム油生産の効率化を実現しています。

更新日 2024-09-11

はじめに：

パーム油は、チョコレート、石鹸や洗剤、化粧品、さらにはアイスクリームまで、様々な包装製品の主要成分として広く使用されており、世界の植物油需要の約40%を占めています。

世界のパーム油生産への需要は近い将来、大幅に増加すると予想されています。この急速な成長は、複数の国々の経済と生活に大きく貢献するでしょう。しかし同時に、環境への影響を最小限に抑えながら、より高い油脂収率を求められるパーム油工場の持続可能な運営という点で課題をもたらします。

背景と状況：

パーム油製造業者が直面する主な課題の1つは、パーム油工場排水（POME）の処理です。POMEは主にパーム果実の殺菌処理とパーム油の精製プロセスから発生します。

POMEは水、油、微細な浮遊物質からなる濃厚な褐色の混合物で、非常に高い生物化学的酸素要求量（BOD）が特徴です。POMEの高い汚染負荷（高BOD）により、効率的なPOME処理方法が工場の持続可能で成功的な運営の前提条件となっています。

従来のPOME処理では、廃水をサッカー場ほどの大きさの巨大な池のシステムにポンプで送り、現地の排出基準を満たすまで処理します。この方法にはいくつかの欠点があります：広大な土地が必要、メタンが生成され大気中に放出される、そして抽出されたパーム油の約1%がPOMEに含まれたまま無駄になる、などです。

メタンは2番目に多い温室効果ガス（GHG）で、地球温暖化係数は二酸化炭素の28倍です。メタンは世界のGHG排出量の約16%を占めています（IEA, 2024）。

持続可能性の目標と戦略：

アルファ・ラバルは、持続可能なパーム油のための円卓会議（RSPO）に参加しています。これはパーム油を持続可能にするためのグローバルパートナーシップであり、パーム油生産の環境への影響を軽減できるソリューションの開発と実施に引き続き取り組んでいます。

環境への影響：

工場が直面するこれらの課題に対処するため、アルファ・ラバルはPOMEVap技術を開発し、POME問題を効果的に管理しています。

このシステムはAlfaFlash蒸発技術を使用して、排水を清浄水、回収パーム油、栄養価の高い固形物の濃縮物に分離します。濃縮物はさらに処理され、動物飼料として販売できます。

POMEVapには次のような利点があります：凝縮水を再利用できるため水の消費を最小限に抑えられる、油と濃縮物を回収して販売できる、典型的なPOMEVapは300平方メートルのスペースしか必要としないため廃水処理に必要なスペースが少ない、メタンが生成されないためGHG排出がほぼ完全に回避できる、などです。濃縮後、廃水からの汚泥は乾燥され、家畜の飼料として、または農業用肥料の技術グレード製品として使用されます。

A close up of hands holding a pile of oil palm seeds

ベストプラクティス：

インドのあるパーム油生産者にとって、アルファ・ラバルのPOMEVapシステムへの投資により、工場は地域の環境基準を達成し、工程での凝縮水の再利用を可能にし、淡水消費量を大幅に削減すると同時に、温室効果ガス排出量を劇的に削減することができるようになります。また、POMEで失われていたはずの追加のパーム油を回収することで、全体的な収益性も向上します。

「POMEの効率的な処理は、環境への影響と貴重な副産物の損失のため、この顧客にとって大きな懸念事項でした」とアルファ・ラバルBUフードシステムのCPO業界マネージャー、プラサンナ・ウパディヤイは説明しています。

販売段階でのアルファ・ラバルの蒸発試験ユニットを用いた集中的な製品試験の結果、同社はPOMEVapソリューションの性能に感銘を受けました。フルスケールのPOMEVapシステムは2023年末に工場に設置され、無事に稼働を開始し、顧客の期待に応える結果を出しています。

経済的考察：

POMEVapシステムにデカンター工程を追加してパーム油回収を促進することで、投資回収期間はわずか4年と予想され、このソリューションはwin-winの関係を実現します。

「POMEVapを使用した油回収の可能性を示すと、1時間あたり45トンのFFB処理能力を持つ工場では、年間約162,000トンのPOMEが発生します」とアルファ・ラバルBUフードシステムのシニアグローバルセールス、アモル・フッケリカーは述べています。「生のPOMEには約1%の油分が含まれており、POMEVapシステムを使用すれば、油分の50%、つまり年間810トンを回収することができ、これは非常に大きな量です！」

「回収された油は、さらなる精製のために油精製工程に戻すことができます。また、欧州のRED II枠組みで認められているHVO原料としても使用できます。結論として、POMEVapソリューションは工場に追加収入をもたらすだけでなく、池システムの使用に関連するGHG排出問題を完全に解決し、パーム油工場が持続可能性目標を達成するのを助けます。」