2020-12-14 Product News
WinGDと共同開発のアルファ・ラバルPureCoolで最大50%のメタンスリップ削減を実現
IMO(国際海事機関)は、2050年までに温室効果ガス排出量を50%削減するという目標を掲げました。これにともない、船舶の運航にはカーボンニュートラルな燃料の使用が推進され、LNG(液化天然ガス)の需要が高まっています。メタンスリップ(未燃焼メタン)の抑制に向けた取り組みが行われるなか、アルファ・ラバルはスイスのエンジン開発メーカーであるWinGD社とともに、この問題を解決する製品を開発しました。それが、WinGD社の提供するiCER技術の主要コンポーネントであり、メタンスリップの削減やエンジン効率を大幅に向上させるWinGDX-DFエンジンに組み込まれている、アルファ・ラバルPureCoolシステムです。
メタンスリップ―次なる環境規制の対象か現時点ではメタンスリップに関する規制はありませんが、将来的に規制が作られる可能性も視野に入れ、多くの船舶がLNGを使用するようになりました。LNGは他の化石燃料と比べ、燃焼時のCO2発生量が少ないものの、メタンの一部が燃焼せずにエンジンから大気に排気されることがあります。メタンはCO2よりも地球温暖化係数が高いため、わずかな排出源であっても地球環境に問題を与える恐れや、IMOが目標としている環境基準に影響を及ぼす可能性があります。
「IMOは、2008年のレベルに対して温室効果ガス排出量を少なくとも50%削減することを目指しています。そのような中、カーボンニュートラルな未来への架け橋となる燃料として、LNGが主要な役割を担うようになりました」とアルファ・ラバルの事業開発マネージャーのDavid Jungは述べています。 「しかし、メタンスリップが地球温暖化に悪影響を及ぼす恐れは依然として大きく残っており、今後新たな規制が定められる可能性もあることから、環境改善に向けた取り組みを行う必要があります。アルファ・ラバルPureCoolシステムを搭載したWinGDのiCER技術は、メタンスリップを最小限に抑え、海運業界における温暖化防止対策に貢献しています。」
PureCoolがiCERへ与えるメリット
アルファ・ラバルがWinGDの協力のもと開発したPureCoolは、iCERの中心を担うカスケード排気ガス冷却システムです。iCERとは“Intelligent Control by Exhaust gas Recycling”(排気ガスリサイクルによるインテリジェントな制御)の略で、WinGDの第2世代デュアル燃料エンジン技術であるX-DF2.0において、最初の開発として発表されたものです。
「iCERは、エンジンに隣接してスタンドアローンでインストールするオプションです」とJung氏は述べます。「ガスモードでの運転中は、排気ガスの約50%を冷却し、ターボチャージャーの低圧経路に再循環させることで燃焼を改善します。結果として、メタンスリップが最小限に抑えられます。この工程を可能にするのが、PureCoolシステムの冷却機能です。」
最大50%のメタンスリップ削減
PureCoolを搭載したiCERは、すばらしい効果を発揮しています。2年間にわたるテストプログラムの最終段階として、WinGD専用のエンジンテスト施設で行われた試験では、メタンスリップを最大50%削減することができました。
これについて、Jung氏は以下のように述べています。「これは、環境面における多大な利益であり、LNGの有用性を真に強化するものです。PureCoolシステムを搭載することによって、iCERはメタンスリップを半減させることに成功しました。」
燃料とエネルギーの節約
PureCoolを搭載したiCERは、エンジンの購入者にも大きなメリットを提供します。メタンスリップを削減できるだけでなく、iCERを使用することで、ガスモードでの燃料消費量が3%削減されるのです。
「PureCoolシステムによって、船舶の燃費を向上させることができます」とJung氏は述べています。「iCERで燃料を節約することで、船舶のエネルギー効率設計指標にプラスの影響を与えます。」
永続的なコミットメントの新たな側面
iCERが製品となり、実際に現場で導入される段階に入ったことにともない、PureCoolシステムもアルファ・ラバルのポートフォリオに加わることをユング氏は誇りに思っています。PureCoolは従来のさまざまな環境問題に対するソリューションの一例に加わるわけですが、LNGのような燃料に関わる問題に対しては初のソリューションであるといっても過言ではないのです。
「アルファ・ラバルは、環境保全や燃料の改善に向けたソリューション開発の最前線を担いつづけます」とユング氏は述べます。「PureCoolシステムには、まさにそのような取り組みの側面が反映されています。また何よりも、お客様が今後、何かしらの課題に対応される際、弊社の製品でサポートしたいという想いが込められています。」
お問い合わせ
Heleen van Hout
Marketing Communication Coordinator
Tel: +31 76 57 91 210
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